2016年1月30日土曜日


  雪の大槌島/ 新年会    2016年1月


この冬一番の寒さとなった朝、テレビは昼にも雪が降ると予報していた。ただ、陽の光を受けた小屋は、思った以上に温かい。小屋の持ち主のYさんたちと初めて顔合わせをした一昨年の12月の語らいを思い出す。 

大槌に向かって二礼二拍手一礼した後、緋毛氈を敷いた小屋で、生姜を擦った甘酒とおしる粉で体を温めると、正月気分も盛り上がる。 



 
 

雪の大槌島 
予報通りに正午頃には雪がちらつき、思わずカメラを手に外出る。遥か対岸の香川は雪で白く霞み、その手前の大槌と小槌を夫婦岩のように浮き立たせている。雪が、いつもは平面的な風景に奥行きを与える。小屋に戻ってしばらくすると、今度は大槌島の上で南中した太陽が水面で反射し、その光で小屋が満たされる。冬の移ろいやすい天気に、雑木林からの景色も刻一刻と表情を変える。望むらくは、しめ縄づくりに携わったすべての人たちにも堪能して欲しい光景だ。



からくり眼鏡

“絵の中にいるような…”という言葉が浮かぶが、いま眼にしている風景は少し違う。 

雑木林のあいだから覗く雪の大槌島は、平面とも立体ともつかない、カラクリ眼鏡のなかに広がる異次元の世界といった趣きだ。
普段の生活でこんな体験を味わうことはそうないだろう。ただ振り返ってみれば、明神鼻の小屋では、これまでも息を呑むような風景に遭遇することがあった。切り開いた雑木林に光が射しアゲハ蝶が舞った一昨年の秋、お茶を点てる着物姿の背後に大槌島が見えた明神鼻の茶会…。