2014年7月27日日曜日

■ 小屋との出会い     2014年7月


お菊明神の目と鼻の先にある小屋の存在に気づいたのは、明神鼻を何度目かに訪れたときだった。それまで気づかなかったのは、小屋の周囲を木々が覆っていたからだ。秘密基地のような佇まいの小屋には、どこか心を惹かれるものがある。

白くペンキで塗られた木造の外観は、周囲の農作業小屋とも様子が違う。屋根がロープで近くの木に結わえられているのは、強風対策のためだろうか。ガラス戸から中を覗くと、「向日比青年研修道場」と墨書された年季の入った看板や、メンバーと思しき色あせた集合写真が見える。小屋が使われなくなってからかなりの年月を経ている様子だが、持ち主が時々手入れしているためか目立った痛みは見えない


海に面した小屋の南側は大きなガラス戸で、広いベランダが張り出している。今は樹木に覆われていて波音しか聞こえないが、小屋を建てた当時はここから瀬戸内の眺めを楽しんだのではないだろうか。
小屋の魅力は、かつてここに集った人たちを想像させることに加え、岬の先端という小屋の立地そのものにもある。

木々のわずかな隙間から、大槌島らしき姿が見える。この雑木林を剪定すれば島を借景とした「庭」のようになるのではないか、その借景を楽しみながら小屋でお茶をたてるのはどうだろうか、と想像が膨らむ。土地の魅力が集約されたこの小屋を活動の拠点に出来ないものか。